(65) パルが行方不明に ー。
本文に入る前に ー。
この度、下記のサイトに、当ブログを補助していくためのページを開設しました。
急遽、そのようにしたのには理由があります。
最近、「キャプチャーされる日々」というブログが、閉鎖されました。
それに関して、ブログの運営者である「たつ」さんから、依頼されていたことがありました。
その詳細を、下記ブログに記載しました。
もし、お時間がありましたら、御訪問いただければ幸いです。
「海辺の町から」
http://blogs.yahoo.co.jp/marukorin08
**********************************************
D 様
連日の猛暑が、気まぐれな休暇でも取ったのでしょうか・・?、
陽射しのない、柔らかな空が広がっています。
動かない空気の中、木々は静謐に佇み・・・
地面を這う雑草は眠ったかのように密やかです。
遠く聞こえるミンミン蝉の声
時折の子供の嬌声
夏が旅支度を始めているような、静かな午後 ー。
時が音もなく流れています。
D様 ー。
飼犬のパルが、いなくなりました。
今日で4日目になります。
16日の朝 ー。
私は、朝食の支度をしていました。
その時分になると、パルはいつも吠え始めます。
繋いである犬小屋から、居場所を移動するよう要求するのです。
その要求に応え、夫が、別棟の事務所の側か、裏庭のどちらかに連れていきます。
それが、朝食前の夫の日課になっています。
その日 ー 。
朝食の用意が整い、食卓に付いた時、
「そう言えば、今朝は、パルがおとなしいわね。」
「珍しいよな。夏バテかな?」
私と夫は、そんな会話をしましたが、特に気にすることなく、朝食を摂り始めたのでした。。
そして、朝食後 ー。
夫は、別棟に行くために外に出ました・・が、すぐ戻って来ました。
「おい、パルがいないぞ。」
パルがいない?
私は、すぐ犬小屋に行ってみました。
「ロープが切れたわけじゃないんだよ。留め具も付いたままだし・・・。」
夫は、ロープの端を持ち、不可解な顔をしていました。
それは、誰かが外した ー そう考えざるを得ない状況だったのです。
誰が・・・?
私の表情に不安の色を見たのか、
「そのへんで遊んでるんじゃないのか? 間もなく戻って来るよ。」
夫は、それを振り払うかのように言うのでした。
そうかも知れない・・・。
束の間の自由を満喫したら、帰ってくるはず ー。
以前も、こんなことがあったけど、ちゃんと戻って来たのだから・・。
私は、パルが帰るのを待つことにしました。
しかし、
パルは昼になっても、戻って来ませんでした・・・。
初めてのことでした。
「ちょっと、その辺を見て来るよ。」
夫が、付近一帯を捜すべく、車で出かけて行きましたが ー、
見つけることが出来ないまま、小一時間ほどで戻って来ました。
私は、役場の担当課に電話をしました。
そして、保護された犬はいないかと、尋ねたのです。
「昨日も今日も、保護した犬はいないですよ。」
パルは、不自然な状態でいなくなってしまいました・・・。
私は、警察に届けることにしました。
先週に続き、また、通報する羽目になったのです。
やがて、パトカーで2名の警察官が、やって来ました。
歳は、50代半ばと、40代前半といったところでしょうか ー。
「犬が、いなくなったということですが・・。」
私は、昨夜からの状況を説明しました。
昨夜11時半頃、私は、裏庭にいたパルを、犬小屋まで連れて行き、そこに繋ぎました。
パルは、私に素直に従いましたが、犬小屋には入らずに、草むらに座ったのでした。
私は、蚊取り線香を炊いてやり、頭を撫でてから家に入ったのです。
そして、翌朝の8時頃に、パルが居ないことに気付き・・・。
私は、警官たちにそれを話しました。
それと ー 、
パルは以前から、夜中に急に吠え出すことがあったこと、
誰かがエサをやった形跡が、頻繁に見つかっていたことも ー 。
その後、私は警官たちに、犬小屋や留め具などを見てもらいました
しかし警官は、以外なことを言うのでした
「・・犬が、自分で外したことも考えられるよね。」
犬が自分で?・・・まさか。
「犬がこの留め具を、どうやって外すんですか?」
「首を動かしたりしているうちに、外れたりすることもありますよ。」
犬が首を動かせば、留め具が外れると・・・?
有り得ないと思いました。
「しっかり留めて置きましたし、それはないと思いますよ。」
「でも、誰かが外すのを、見ていたわけじゃないでしょ?」
「もちろん、見てません。」
見ていたら、その場で止めるし、居なくなることもないでしょうに・・・。
でも、警官たちは、
「見ていないなら、誰かが外したという断言は出来ないよね。」
なんという屁理屈・・・。
以前来た二人と、同様の対応です。
私は反論しました。
「犬が自分で外した ー という可能性は、否定しません。しかし、それは、0コンマの後に、また0が付くパーセンテージでしかないと思いますよ。状況を見れば、誰かかが外したと考えるのが妥当だと思います。」
「犬が外した例もあるんですよ。」
「それは、驚きですが、そんなに頻繁な例ではないでしょう?」
「でも、誰かが外したのを、見ていたわけじゃないんだから ー。」
「例えばですね。人が死んでて、首に締められた痕があって、傍にその痕跡と一致する紐が落ちていたら・・・
状況は、殺人事件ですよね。見ていなくとも、誰かに殺されたことは明白でしょ?」
余程の「ぼんくら」でもない限り、そう推測しますよね。見ていなくても ・・・の言葉は、呑み込みました。
百歩譲って、パルが自分で外したにしても、暫くしたら帰って来るはずです。
逃げたとか、逃がしたというよりも、連れて行かれた ー と、考えざるを得ないのです。
連れて行かれた・・・。
もう、14歳にもなる雑種犬を、連れて行く理由は何なのでしょう?
嫌がらせなのか、犬が邪魔なのか ー。
「しかしね、人の家の犬を、何の為に逃がすの?」
警官は、あくまでも「誰か」のせいには、したくないようでした。
「それは、犯人に訊いて戴くしかありません。ただ、今までのことを考えると、犬に吠えられるのが嫌な人 ー という推測が出来ると思います。」
家宅侵入するにせよ、家の回りに水を撒くにせよ、花を折るにせよ、雨戸に糞便を擦り付けるにせよ、
敷地内に釘をバラ撒くにせよ・・・犬が居なければ、吠えられることはありません。
今までは、吠えられれば、エサを与えて黙らせて来たけど、
居なければ、それに越したことはないはずです。
私は、先日の網戸が破られた事件も話しました。
すると、若い方の警察官は、プロとは思えない言葉を発したのでした。
「そこの錠を外すためねぇ・・・でも、そこに錠が付いていると、外からは分らないでしょ。何で分ったのかね。」
私は、ひと呼吸を置いて言いました。
「サッシ戸を外す時に、どこに引っ掛かって外せないのか、分りますよね。」
「分るかなぁ・・」
「分ったから、網戸を破って、錠を外したんでしょ?」
若い方の警官と私が、網戸のところで、そんな話しをしている間に、
年配の方は、事務所にいた夫に、話を聞いて居たようでした。
夫は、ありのままに状況を説明しました。
以前から、犬にエサを与えている者が確かにいたこと ー 、
2年ほど前は、夜中に犬小屋の前に男がいたことー。
夫と話した年配の方の警官は、徐々に、犬が逃がされただけの事件ではないと、分って来たようでした。
「分りました。・・・が、今のところ、もう少し様子を見てもらうしか無いですね。」
私は ー、
「もし、パルが帰って来たら連絡します。」
ただし、帰って来なかったら、再度、相談させて戴きます・・・。
そして、以前に通報した件と共に、すべて記録をして置くように、お願いしました。
「相談係がいますから、そちらに報告しておきます。でもね、記録は3年間だけ保管して、その後は廃棄となりますよ。」
「3年間?」
「法律で決められていますから ー。」
「法律で・・?」
D様 ー。
私は、そんな法律があるとは、知りませんでした。
何の為にでしょう・・?
例えば、相談したことが事件に繋がった場合、その記録は、捜査上の貴重な資料となるはずです。
それを、たった3年で廃棄することが定められている ー と言うのです。
私は、憂鬱感の中、パトカーを見送ったのでした・・・。
D様 ー。
私は、ここまで気力を振り絞って書きました。
パルのことが、頭から離れません。
戻ってくる・・・。
そう自分に言い聞かせています。
しかし、時に胸が熱くなり、大声でパルの名を呼びたい衝動にかられ・・・、
不安と焦燥、そして、悲しみと怒り ー。
寄せては退いて行く、感情の波の中で、無力感にさいなまれています。
今、少し疲れています。
前回に予告した「公安Kに付いて」は、次回に書かせて頂くことをお許し下さい。
D様 ー。
私は、今回の件を乗り越えて見せます。
あなたへの手紙を、途絶えさすことはありません。
書き続けます・・この卑劣な組織犯罪がなくなる日まで ー。
猛暑は、まだ暫く続くとか・・.
どうか御自愛下さいますよう ー。
2010.8.19
万 留 子

この度、下記のサイトに、当ブログを補助していくためのページを開設しました。
急遽、そのようにしたのには理由があります。
最近、「キャプチャーされる日々」というブログが、閉鎖されました。
それに関して、ブログの運営者である「たつ」さんから、依頼されていたことがありました。
その詳細を、下記ブログに記載しました。
もし、お時間がありましたら、御訪問いただければ幸いです。
「海辺の町から」
http://blogs.yahoo.co.jp/marukorin08
**********************************************
D 様
連日の猛暑が、気まぐれな休暇でも取ったのでしょうか・・?、
陽射しのない、柔らかな空が広がっています。
動かない空気の中、木々は静謐に佇み・・・
地面を這う雑草は眠ったかのように密やかです。
遠く聞こえるミンミン蝉の声
時折の子供の嬌声
夏が旅支度を始めているような、静かな午後 ー。
時が音もなく流れています。
D様 ー。
飼犬のパルが、いなくなりました。
今日で4日目になります。
16日の朝 ー。
私は、朝食の支度をしていました。
その時分になると、パルはいつも吠え始めます。
繋いである犬小屋から、居場所を移動するよう要求するのです。
その要求に応え、夫が、別棟の事務所の側か、裏庭のどちらかに連れていきます。
それが、朝食前の夫の日課になっています。
その日 ー 。
朝食の用意が整い、食卓に付いた時、
「そう言えば、今朝は、パルがおとなしいわね。」
「珍しいよな。夏バテかな?」
私と夫は、そんな会話をしましたが、特に気にすることなく、朝食を摂り始めたのでした。。
そして、朝食後 ー。
夫は、別棟に行くために外に出ました・・が、すぐ戻って来ました。
「おい、パルがいないぞ。」
パルがいない?
私は、すぐ犬小屋に行ってみました。
「ロープが切れたわけじゃないんだよ。留め具も付いたままだし・・・。」
夫は、ロープの端を持ち、不可解な顔をしていました。
それは、誰かが外した ー そう考えざるを得ない状況だったのです。
誰が・・・?
私の表情に不安の色を見たのか、
「そのへんで遊んでるんじゃないのか? 間もなく戻って来るよ。」
夫は、それを振り払うかのように言うのでした。
そうかも知れない・・・。
束の間の自由を満喫したら、帰ってくるはず ー。
以前も、こんなことがあったけど、ちゃんと戻って来たのだから・・。
私は、パルが帰るのを待つことにしました。
しかし、
パルは昼になっても、戻って来ませんでした・・・。
初めてのことでした。
「ちょっと、その辺を見て来るよ。」
夫が、付近一帯を捜すべく、車で出かけて行きましたが ー、
見つけることが出来ないまま、小一時間ほどで戻って来ました。
私は、役場の担当課に電話をしました。
そして、保護された犬はいないかと、尋ねたのです。
「昨日も今日も、保護した犬はいないですよ。」
パルは、不自然な状態でいなくなってしまいました・・・。
私は、警察に届けることにしました。
先週に続き、また、通報する羽目になったのです。
やがて、パトカーで2名の警察官が、やって来ました。
歳は、50代半ばと、40代前半といったところでしょうか ー。
「犬が、いなくなったということですが・・。」
私は、昨夜からの状況を説明しました。
昨夜11時半頃、私は、裏庭にいたパルを、犬小屋まで連れて行き、そこに繋ぎました。
パルは、私に素直に従いましたが、犬小屋には入らずに、草むらに座ったのでした。
私は、蚊取り線香を炊いてやり、頭を撫でてから家に入ったのです。
そして、翌朝の8時頃に、パルが居ないことに気付き・・・。
私は、警官たちにそれを話しました。
それと ー 、
パルは以前から、夜中に急に吠え出すことがあったこと、
誰かがエサをやった形跡が、頻繁に見つかっていたことも ー 。
その後、私は警官たちに、犬小屋や留め具などを見てもらいました
しかし警官は、以外なことを言うのでした
「・・犬が、自分で外したことも考えられるよね。」
犬が自分で?・・・まさか。
「犬がこの留め具を、どうやって外すんですか?」
「首を動かしたりしているうちに、外れたりすることもありますよ。」
犬が首を動かせば、留め具が外れると・・・?
有り得ないと思いました。
「しっかり留めて置きましたし、それはないと思いますよ。」
「でも、誰かが外すのを、見ていたわけじゃないでしょ?」
「もちろん、見てません。」
見ていたら、その場で止めるし、居なくなることもないでしょうに・・・。
でも、警官たちは、
「見ていないなら、誰かが外したという断言は出来ないよね。」
なんという屁理屈・・・。
以前来た二人と、同様の対応です。
私は反論しました。
「犬が自分で外した ー という可能性は、否定しません。しかし、それは、0コンマの後に、また0が付くパーセンテージでしかないと思いますよ。状況を見れば、誰かかが外したと考えるのが妥当だと思います。」
「犬が外した例もあるんですよ。」
「それは、驚きですが、そんなに頻繁な例ではないでしょう?」
「でも、誰かが外したのを、見ていたわけじゃないんだから ー。」
「例えばですね。人が死んでて、首に締められた痕があって、傍にその痕跡と一致する紐が落ちていたら・・・
状況は、殺人事件ですよね。見ていなくとも、誰かに殺されたことは明白でしょ?」
余程の「ぼんくら」でもない限り、そう推測しますよね。見ていなくても ・・・の言葉は、呑み込みました。
百歩譲って、パルが自分で外したにしても、暫くしたら帰って来るはずです。
逃げたとか、逃がしたというよりも、連れて行かれた ー と、考えざるを得ないのです。
連れて行かれた・・・。
もう、14歳にもなる雑種犬を、連れて行く理由は何なのでしょう?
嫌がらせなのか、犬が邪魔なのか ー。
「しかしね、人の家の犬を、何の為に逃がすの?」
警官は、あくまでも「誰か」のせいには、したくないようでした。
「それは、犯人に訊いて戴くしかありません。ただ、今までのことを考えると、犬に吠えられるのが嫌な人 ー という推測が出来ると思います。」
家宅侵入するにせよ、家の回りに水を撒くにせよ、花を折るにせよ、雨戸に糞便を擦り付けるにせよ、
敷地内に釘をバラ撒くにせよ・・・犬が居なければ、吠えられることはありません。
今までは、吠えられれば、エサを与えて黙らせて来たけど、
居なければ、それに越したことはないはずです。
私は、先日の網戸が破られた事件も話しました。
すると、若い方の警察官は、プロとは思えない言葉を発したのでした。
「そこの錠を外すためねぇ・・・でも、そこに錠が付いていると、外からは分らないでしょ。何で分ったのかね。」
私は、ひと呼吸を置いて言いました。
「サッシ戸を外す時に、どこに引っ掛かって外せないのか、分りますよね。」
「分るかなぁ・・」
「分ったから、網戸を破って、錠を外したんでしょ?」
若い方の警官と私が、網戸のところで、そんな話しをしている間に、
年配の方は、事務所にいた夫に、話を聞いて居たようでした。
夫は、ありのままに状況を説明しました。
以前から、犬にエサを与えている者が確かにいたこと ー 、
2年ほど前は、夜中に犬小屋の前に男がいたことー。
夫と話した年配の方の警官は、徐々に、犬が逃がされただけの事件ではないと、分って来たようでした。
「分りました。・・・が、今のところ、もう少し様子を見てもらうしか無いですね。」
私は ー、
「もし、パルが帰って来たら連絡します。」
ただし、帰って来なかったら、再度、相談させて戴きます・・・。
そして、以前に通報した件と共に、すべて記録をして置くように、お願いしました。
「相談係がいますから、そちらに報告しておきます。でもね、記録は3年間だけ保管して、その後は廃棄となりますよ。」
「3年間?」
「法律で決められていますから ー。」
「法律で・・?」
D様 ー。
私は、そんな法律があるとは、知りませんでした。
何の為にでしょう・・?
例えば、相談したことが事件に繋がった場合、その記録は、捜査上の貴重な資料となるはずです。
それを、たった3年で廃棄することが定められている ー と言うのです。
私は、憂鬱感の中、パトカーを見送ったのでした・・・。
D様 ー。
私は、ここまで気力を振り絞って書きました。
パルのことが、頭から離れません。
戻ってくる・・・。
そう自分に言い聞かせています。
しかし、時に胸が熱くなり、大声でパルの名を呼びたい衝動にかられ・・・、
不安と焦燥、そして、悲しみと怒り ー。
寄せては退いて行く、感情の波の中で、無力感にさいなまれています。
今、少し疲れています。
前回に予告した「公安Kに付いて」は、次回に書かせて頂くことをお許し下さい。
D様 ー。
私は、今回の件を乗り越えて見せます。
あなたへの手紙を、途絶えさすことはありません。
書き続けます・・この卑劣な組織犯罪がなくなる日まで ー。
猛暑は、まだ暫く続くとか・・.
どうか御自愛下さいますよう ー。
2010.8.19
万 留 子

