D 様
木々の緑が煌めいています。
それはプラチナの粉を振りまいたように、輝いているのです。、
今日のこの地には陽光が溢れ・・・そして、西からの乾いた風がよぎっています。
日向に寝転ぶ犬・・・そして、座布団の上の猫たち・・・。
静かで、爽やかな午後 ー 。
私の束の間の幸せな時間です。
D様 ー。
一昨日のことです。
夫が近所のコンビニで買い物をして、戻って来ました。
「隣のアパートの男は、あの店のマネージャーだって言ってたよな? いやあ、驚いたよ。」
「何が ー ?」
私が尋ねると・・・。
「『こんにちわ』なんて言うんだよ。今日は、やたら愛想がいいんだ。」
コンビ二の店員から愛想良くされて、驚く人はいないのですが、
夫は、そんな応対をされたのは初めてだったのです。
近所ですから、私たちは日常的に、そのコンビ二を利用しています。
しかし、この隣に住むKSは、何度顔を合わせても機械的な応対しかしません。
レジを打つ時に「こんにちわ」とか、「天気がいいですね」とか・・・ひと言を添えた方が自然な場面でも、
何も言わないのです。
以前、私が猫を抱いて、家の前の道路際にいた時・・・。
KSが、私の前を無言で通り過ぎて行きました。
この男はなぜ、挨拶をしないのだろう・・・。
私は、KSが目の前を通り過ぎた瞬間に、声を掛けてみました。
「こんにちわ。これからお仕事?」
すると、さすがにこのKSは振り向きました・・・。
「いえ。今日は休みですから ー。」
それだけの応答・・・そして、足早に行ってしまったのです。
そのKSが、自分から愛想よく挨拶をしたと言うのです。
私も驚きました。
D様 ー。
一体どうした心境の変化なのでしょう・・・?
私は、貴方への手紙に、このKSと彼が住むアパートについて、不審に思うことを何度か書きました。
例えばアパート・・・。
アパートは、1、2階にそれぞれ4部屋あり、計8世帯の入居が可能です。
しかし、埋まっているのは、上下とも2部屋だけ・・・入居率は半分という訳です。
それでも、入居者募集の看板は、相変わらず外されたまま・・・。
もう、何年もこの状態です。
また、KSはいつ部屋を変えたのでしょう・・・?
以前は東端の部屋だったはずです。
1年ほど前のある日・・・。
私は、居間のふちに立ち、何気なく外を見ていました。
ガラス戸は開け放たれていました。
すると、アパートから、「カチッ」という音が聞こえてきました。
ドアの施錠を解く音・・・東端の部屋でした。
私は、そちらに視線を向けました。
しかし、開けかかったドアは、すぐ閉められました。
外に出ようとしたのですが、居間の端に立っている私に気付いて、慌てて閉めた・・・。
そんな感じでした。
瞬間的に見えた顔は、KS ー 。
なぜ、ここまで閉鎖的なのでしょう?
そのKSが愛想よくなったとは・・・。
D様 ー。
私は、数ヶ月前から住所地をネット上で公表しています。
ですから、このコンビ二やアパートを特定することは、誰にでも出来るはずです。
連休前に、点滅し始めたアパートの照明灯も、いつになく、早く取り替えられました。
以前、1階の照明灯が切れ、2階の照明灯は点滅・・・という状態の時がありました。
それは長い間、放置されていたのです。
アパートは、我が家の隣に、陰気な光景を作っていたのでした。
私は、どこにでもいるただのコンビ二店員ですよ・・・。
アパートも、おかしいところなど何もありません。
そんな作為を感じるのは、穿ち過ぎなのでしょうか・・・。
いずれにせよ、KSとアパートは、このところ様子が変わりました・・・。
さて、D様 ー 。
「転び公防」という言葉があります。
語源は、警察官が自ら、故意に転倒したにも関わらず、突き飛ばされたとして、
対象者に「公務執行妨害罪」を適用することから来ています。
ウキペディアには ー、
「逮捕拘留するためには、証拠が不十分である被疑者を、警察官自らの演技・虚言によって、『公務執行妨害罪』などを適用できる状況を作り上げ、これを口実に別件で逮捕し、拘留する」ー との意味が書かれています。
主に、公安警察がこの手口を用い、不当逮捕・冤罪の温床になっていると、法曹関係者からは批判されています。
その主な手口は、以下の通りです。
1.被疑者の傍で自ら転倒する。
または、自ら被疑者の体に触れ、大げさに痛がったり、転倒したりする。
2.被疑者を挑発する言動をし、被疑者が大声を上げたり、体を動かしたら、自ら転倒する。
3.制服警官が、制帽をすぐ脱げ落ちるほと緩く被り直し、自ら被疑者に異常に接近し、
鍔(つば)が対象者に当たって、制帽が脱げたら逮捕する。
4.軽微な罪、又は、見に覚えのない罪で家宅捜索を行い、被疑者が捜索令状に手を触れた時に、
「令状を破った」と言い出す。(文書等毀損罪の現行犯で、逮捕の口実になる)
5.軽微な罪、又は、身に覚えのない罪で家宅捜査を行い、被疑者宅をかき回し、被疑者が怒った時に、
自ら転倒したりする。
この様子を、映像で捉えたのが森達也監督です。自ら転んで相手のせいにする捜査官の様子が、否定しようもなく映されています。また、上記5については、鈴木邦男氏が、著書「公安警察の手口」の中で、自らの体験を書いています。鈴木氏は、この手口で23日間にわたり勾留されたのでした。
自分たちのやることは、誰にも文句は言わせないし、そんな奴もいないだろう ー と、驕り高ぶった果ての、
捜査の暴走です。
さてD様 ー。
この国において、事件捜査や治安維持などの権限を、国民から付託されているのは、言うまでもなく警察という組織です。当然ながら、それは民主主義という基盤の上に、成り立っていなければなりません。その権限を濫用し、主客転倒に陥らぬよう、組織自らが常に戒めていなければならないのは、言うまでもないことです。
しかし、今、この組織に暴走はないのだろうか・・・?
上記の「転び公防」の例を見るまでもなく、多くの国民がそのあり方に疑念を抱いています。
元国会議員である白川勝彦氏の体験を通し、それを検証してみたいと思います。
氏はこの体験を「忍び寄る警察国家の影」と題し、ブログ上で公開しています。
それは、2004年のことでした・・・。
白川氏は、渋谷の街を歩いていました。
氏は、風邪で数日間、寝込んだ後でしたが、止む無い用事で街に出て来たのでした。
一人で歩いていた白川氏は、突然、屈強な4人の男に囲まれました。
歩行を止められる形で、立ち塞がれたのです。
4人は警察官でした。
警察官たちは、いきなり「ポケットの中のものを見せなさい」と言うのでした。
そして、白川氏のズボンのポケットの上を、触ってきたのです。
突然のことに、白川氏は驚きました。
呼び止められる理由が、分からなかったのです。
白川氏は、ポケットを強く触る警察官の手を払い除けました。
「何で君たちに、ポケットの中を見せなければならないのだ。」
しかし、この4人は執拗に、氏のポケットの上を触ってくるのでした。
「怪しいものが入ってなければ、見せなさい」
白川氏は、再び、ポケットの上の手を払い除けました。正当防衛だと判断したのです。
「素直に見せなさい。」
「見せるつもりはない。君たちには、私のポケットの中を見る権限はないはずだ。」
そんな押問答が、何十回も繰り返されました。
4人の警察官は、白川氏を取り囲み、氏の行動の自由を奪っていました。
氏は、徐々に冷静になってきました。
そして、空恐ろしいものに遭遇した自分に気付いたのです・・・。
白川氏は勿論、見せて不都合なものが、ポケットに入っていた訳ではありません。
しかし、「こんなことがまかり通っていたら、自由も人権もあったものではない 」と考えたのです。この日本において、現実にこんなことがまかり通っている ー 氏は、その事実に震撼としたのでした・・・。
白川氏は弁護士です。また、国会議員当時は、国家公安委員長まで務めています。
当然、職務質問については、その有効性も、問題性もよく知っています。
こんな形の職務質問が、許されるはずはないのでした。
氏は、我慢の限界に達していました。
しかし、無理に警察官たちの囲みを解けば、公務執行妨害で逮捕 ー という事態にもなりかねません・・・。
さてD様 ー
職務質問に関しては、以下のことが決められています。
白川氏のブログから引用すると ー 。
(1) どういう者に対して質問が許されるのか ー。
A.異常な挙動、その他、周囲の事情から合理的に判断して、犯罪を犯し、又は犯そうと
としている ー と疑うに足りうる、相当な理由のある者。
B.異常な挙動、その他周囲の事情から合理的に判断し、既存の犯罪、又は、これから行
なわれる犯罪について、知っていると認められる者。
白川氏は、自分が上記2項目のどれに当たるのか ー と疑問を呈しています。
氏は、普通に渋谷の街を歩いていたに過ぎないのですから・・・。
(2) 職務質問で許されること ー。
「警察官職務質問執行法」においては、以下のことが許されています。
A.停止させることが出来る。
B.質問することが出来る。
しかし、この2項目については、以下の制約があります。
「・・・身体を拘束され、又は、その意に反して、警察署などに連行され、もしくは、答弁を強要されることはない。」
つまり、歩行を停止させたり、質問したりすることは出来るが、対象者から拒否されれば強要は出来ない ー と言うことです。
(3) 身体検査は許されるのか ー。
職務質問においては、身体検査は許されていません。
そして、警職法第1条2項には、以下の規定が明記されています。
「この法律に規定する手段は、目的のために、必要最小限度で用いるものであって、いやしくも、濫用するようなことがあってはならない。」
にも関わらず ー 、
白川氏に対する職務質問は、「濫用以外の何ものでもない」と言うべきものでした。
さて ー 。
白川氏は、4人の警察官たちに、突然、行動の自由を奪われたわけですが・・・。
渋谷という繁華街でのことです。
信号待ちの人などが、遠巻きに、この様子を見ていました。
押し問答が続きました。
埒が開かないと考えたた白川氏は、ひとつのカードを切ることにしました。
氏は、4人の警察官に言いました。
「私は弁護士だ。今、君たちがやっていることは、警職法で許されることではない。君たちがやったことを、
私は署長に訴えなければならない。」
そして、渋谷暑に一緒に行こうと切り出しました。
しかし、4人は囲みを解こうとせずに「交番に行こう」と言い始めたのです。
また、押し問答になりました。
同じことの繰り返し・・・しかし、白川氏は偶然、知り合いの人を見かけました。
その人を呼ぶと、彼は来てくれました。氏は、幸いにも目撃者と証人を作ったのでした。
そして、囲みを振り切って、タクシーを拾うことにしました。
しかし、氏が道路の反対側に行っても、4人はすぐ取り囲みました。
そんな状況の中では、タクシーは停車してくれません。停車しても、乗り込むことが出来ない状態ですから、すぐ行ってしまうのでした。
氏は、もしここで解放されたとしても、渋谷署には行くつもりになっていました。
4人の警察官がしていることは、許されるべきものではないのですから ー 。
「私はタクシーで行く。勿論、お金は私が払う。君達も一緒に乗ってもいい。」
しかし、4人はパトカーで行こうと言い張るのでした。
「理不尽な質問を散々受けた上、パトカーに載せて下さる?! 冗談じゃない!」
氏は、さすがに腹が立ってきました。
押し問答の末、結局、タクシーで行くことになりました。
4人のうち2人が同乗し、白川氏は渋谷警察署に向かったのでした。
渋谷署に着いた白川氏は、「何とか代理」「何とか課長」などの応対を受けました。
しかし、、氏はあくまで、署長と直接話すことを要求しました。
氏の肩書きは弁護士で、元国家公安委員長というものですが、応対した相手からは、嘘を言っていると思われたようです。しかし、やがてその肩書きが真実であることが分かってきたようで、副署長が出てきたのでした。
そして、丁寧なお詫がなされる ー という結末に至ったのです。
その後のことは、氏がブログで書かれていますのでそちらに譲ることにします。
D様 ー 。
私はこの事件を、当時、週刊誌に小さく載った記事で知りました。
それは、ことの概要を簡単に報じていただけです。ですから、白川氏が酷い目にあったことに対し、同情の念がよぎった ー という程度の感覚でした。
しかし、今回、白川氏自身が書いておられることを読んで、私は、その詳細を知るに至りました。
そして、多くの問題を含んだ体験であったことを理解したのです。
D様、私は考えます。
もし、これが白川勝彦氏でなかったら、どうなっていたのだろうかと ー 。
「弁護士・元国会議員・元国家公安委員長」という肩書きを持たない、一般市民だったら・・・。
「微罪逮捕」という言葉があります。
これは、前述した「転び公防」とも通じる手法ですが、通常では逮捕するには至らない罪で、逮捕するということです。
例えば、路上で唾を吐けば「軽犯罪法違反」、
赤信号の横断歩道を渡ると「道路交通法違反」、
捜査員と体が触れれば「公務執行妨害」、
ホテルの宿泊台帳に偽名を記載すると「私文書偽造」 ー それぞれ逮捕されます。
主に、過激派や、オウム真理教の信者に適用されたと言いますが、前例があれば、一般市民に、いつ適用されてもおかしくはありません。
現に、2008年 ー 。
麻生太郎首相(当時)宅へ、見学ツアーを企画したメンバーが「公務執行妨害」で逮捕されたという事件がありました。現場に混乱があったわけではなく、まさに「転び公防」の手口が用いられたのです。
これに付いては、亀井静香氏が批判しています。
「何で逮捕してるのか。現場が暴動化するとは思えない。警視総監に電話して『権力を持つものは自制しないと都民から支持されない』と叱りとばした。権力は怖い。一歩間違えばこういうことになっていく。」と話しています。
不当な職務質問を拒否したら逮捕・・・それは決して杞憂ではない現実が、この日本に存在しています。
さて、白川氏の件をマスメディアはどう報じたのでしょうか?
テレビや新聞での報道は、ほとんどありませんでした。
(ニュースステーションや日刊スポーツなど一部のメディアのみ ー。)
国民の人権に関わるとんでもない事件にも関わらず、特に問題意識は持たなかったのです。
前記した「転び公防」の現場を写した森監督は、自分たちのカメラが回っていると分かっていながら、捜査官は撮られることを意に介さなかったと言っています。
つまり、カメラをテレビ局のものだと勘違いし、映像を流すことはない ー という自信があったのだろうと、推測しています。
日本のマスメディアのスタンスが垣間見えます。
権力という大樹の陰に居場所を与えてもらい、その位置から事を報じるマスメディア・・・そこには、もはや社会の木鐸としての機能はありません。権力から頭を撫でられ、本来の視座を忘れ、あろうことか国民と対峙する構図の中にいるのです。
白川氏は「Due Process of Law(法の適正な手続き)」の理念について述べた後、下記のように言っています。
『警察力の行使は、「Due Process of Law」の精神に基づいて行なわなければならない。
わが国の警察権力や国家権力は、彼らが思っているほどの信用はないのです。ですから、殊のほか「Due Process of Law」が求められるのです。
しかし、その自覚が最もないのが、警察官であり、検察官であり、官僚です。
ですから、ちょっと油断をすると、わが国は警察国家になり、官僚王国になってしまうのです。
全体国家では、人権などは保障されません。国家は神聖、かつ絶対的な存在であり、国家の犯罪などという概念は、 最初からありません。こういう社会では、国家の人権にたいする犯罪は一般的であり、日常的に行なわれます。
しかし、最低限の生存すら保障し得ない北朝鮮は、国民から見放されて、脱北者を多数生み出しています。
こうした北朝鮮の現状を、私たちは、不幸な他国のことと言えるのか?と言いたいのが、今回、私が受けた
職務質問なのです。
私が受けたような職務質問が、公然と許されるようなことになれば、わが国は早晩、警察国家になるでしょう。
犯罪は現在よりも摘発が楽になるでしょう。
だが、私たちの人権は確実に侵され、私たちは国家に対し、従順に生きていかなければなりません。』
白川氏の体験は、2004年のことでした。
現在においては、このようなことは行なわれていないのか・・・?
残念ながら、事態はより悪化していると言わなければなりません。
私が頻繁に訪れるブログに「集団ストーカー現象について考える」というサイトがあります。
ブログ主はKingfisherさんで、最近の記事の中で、「防犯パトロール」の問題性を指摘しておられます。
「防犯パトロール」は、警察の主導で全国に展開されている防犯体制ですが、地域の行政機関は勿論のこと、企業、団体、医療機関などあらゆる組織を取り込み、行き過ぎた監視体制を形成しています。
氏は、「ツカサネット新聞」に載った記事として、これらの防犯組織に対し、ある県警警部補が「尾行の仕方」や「ごまかし方」などを教授している ー という実態を取り上げています。
警察主導のこの防犯体制は、特定の個人に対する人権侵害を平然と行なっているのです。
白川氏は6年前、自分の体験を通し、警察国家への警鐘を鳴らしました。
しかし、現在 ー 職務質問の行き過ぎどころか、この国にはすでに憲法にも抵触するような、監視体制が敷かれているのです。
集団ストーカーと呼ばれる組織犯罪 ー それは、そんな社会的土壌の中で行なわれています・・・。
さて、D様 ー。
3ヶ月ほど前、敷地内の貸家に住む奥さんが、パソコンを買いました。
すると・・・。 この続きを次回に書きたいと思います。
この季節 ー D様の日々が健やかでありますよう・・。
2010.5.13
万 留 子
